Na-Mgリン酸塩相は小惑星Ryugu,Bennu試料のいずれにも含まれるが,Bennu試料では主たるリンのホスト相であるのに対し,Ryugu試料中にはごく少量(<1wt.%)しか存在しない.この相は小惑星母天体での水質変成過程によって形成されたと考えられ,Ryugu, Bennu各母天体での水質変成環境を解明する上で重要な物質である.本研究では小惑星Ryugu, Bennu試料中のNa-Mgリン酸塩相に対して,X線吸収端近傍構造(XANES)分析,透過型電子顕微鏡観察,大気非曝露での顕微反射分光分析を行い,その化学的特徴を調べた.結果として,この相は分子水と窒素を豊富に含み,またその含有量は試料ごとで不均質であることが示唆された.さらにBennu試料中のNa-Mgリン酸塩相のC K-edge XANESスペクトルはRyugu試料中のIOMのXANESスペクトルに類似しており,IOMに似た構造を持つ有機物がNa-Mgリン酸塩相の構造中に取り込まれている可能性が示された.