日本地球化学会年会要旨集
2025年度日本地球化学会第72回年会講演要旨集
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G6 宇宙化学:ダストから惑星、生命へ
含水Mgリン酸塩(MgHPO4·3H2O)の脱水による小惑星リュウグウ・ベヌーの近地球軌道での熱履歴の推定
*松本 有香子橘 省吾
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p. 136-

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抄録

小惑星リュウグウ,ベヌーの試料には含水Mgリン酸塩が存在し,水質変成後に天体表面で受けた加熱脱水を記録している可能性がある.本研究では,小惑星表面でのMgリン酸塩の脱水挙動を理解するため,低圧下でMgHPO4·3H2Oの脱水実験を行った.加熱により試料は脱水し,温度に依存した脱水度で反応が停止することが分かった.この反応停止は,脱水進行による反応速度の急激な低下を示す.これはMgに配位した水分子の脱離に伴って,Mgの配位数が減少し,脱水の活性化エネルギーが増加するためと考えられる.実験結果に基づき構築した一次反応モデルを基盤とする脱水モデルからは,リュウグウおよびベヌーの現在の軌道における太陽光加熱では,完全脱水に至らず,190 °C以上に加熱されると105年以内に完全脱水することが示された.したがって,両小惑星試料に含水Mgリン酸塩が存在することは,190°C以上の加熱を105年以上受けていないことを示唆する.

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