ストロンチウム(Sr)の放射起源同位体比(87Sr/86Sr)は食品の産地判別に有用な指標とされている。また、Sr安定同位体比(88Sr/86Sr)は地球規模の炭素循環を理解するための重要なトレーサーとして着目されている。米は日本人の主食でありSr同位体比測定のニーズが高いサンプルである。しかしながら、米試料のSr同位体比測定に先立って行うSr分離の過程においてSr回収率の低下が観察され、分離過程で起こる同位体分別が測定値の正確さを損なうことが懸念されていた。この原因として、米試料の酸分解の際にケイ酸塩の溶解のために添加したフッ酸が米試料に多く含まれるカルシウム(Ca)とフッ化カルシウム(CaF2)コロイドを形成し、その中にSrが共沈・捕捉されている可能性が示唆された。そこで本研究では、ホウ酸処理を行うことによってCaF2を溶解しコロイド内に捕捉されたSrを回収することを試みた結果、回収率を98 %程度まで改善できた。