日本地球化学会年会要旨集
2025年度日本地球化学会第72回年会講演要旨集
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G3 海洋の地球化学
餌の窒素・炭素同位体比は魚の水晶体にどのように記録されるか:マサバの飼育実験による検証
*吉川 知里小川 奈々子石川 尚人米田 道夫由上 龍嗣伊藤 進一大河内 直彦
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p. 60-

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抄録

魚の筋肉など組織の窒素・炭素同位体組成は、魚が生息していた海域の植物プランクトンの同位体組成を反映する。本研究では、水晶体と餌の同位体比組成の関係を調べるため、孵化から100日間にわたって段階的に異なる同位体組成の餌を与えるマサバの飼育実験を行った。水晶体最外層の新生線維細胞と水晶体内部を剥離した成熟線維細胞、餌の窒素・炭素同位体比とアミノ酸の窒素同位体比を測定した。その結果、成熟線維細胞の各層から得られた窒素・炭素同位体比の時間変化は、新生線維細胞や餌の同位体比の時間変化と整合的であった。栄養段階分別係数は、窒素が2.8〜3.4‰、炭素が2.1〜2.6‰、フェニルアラニンが−0.8〜0.2‰であった。これらの結果から、マサバが仔稚魚期に生息した海域における植物プランクトンの同位体比組成は、水晶体の成熟線維細胞の各層の同位体比組成から上記の栄養段階分別係数を補正することで、復元可能であることが示唆された。

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