近年、黒潮の特性や長周期の気候変動との関係について研究が積み重ねられている.一方で,扱える気候データの時間の短さゆえに,そのメカニズムに関する理解は未だ十分ではない.また,古環境指標の一つであるサンゴ骨格の酸素同位体比の長期データは,熱帯域での報告が多く,サンゴ北限に当たる黒潮流域でのデータは少ない.本研究では,沖縄県久米島産サンゴ骨格の酸素同位体比を月解像度で分析し,過去約100年間の久米島の水温・塩分変動を復元した.結果,海水温の上昇と塩分の低下という長期的傾向が確認され,PDOのフェーズ転換期に黒潮流量と久米島の水温・塩分の関係が変化することが示唆された.