ハワイは北太平洋亜熱帯循環の内部に位置し、広域的な気候変動を大陸の影響を受けずに捉える場であると同時に、貿易風によるローカルな水塊の変動も顕著に現れる地域である。しかし、現場観測による気候の長期間記録は数少ない。本研究では、高い時間解像度を特長とする古気候アーカイブであるサンゴ骨格を用いることによって、過去100年間の水温および栄養塩の変動と、それらに関連する水塊の動態を明らかにすることを目的とした。オアフ島のサンゴ骨格を用い、水温指標として骨格中ストロンチウム/カルシウム比(Sr/Ca比)、栄養塩のトレーサーとして骨格中有機物の窒素同位体比(δ15Ncoral)を測定し、オアフ島の風上側で1908年、風下側で1957年まで遡る記録を得た。本発表では、ローカルな水塊の性質と起源を明らかにするために、サンゴ骨格中バリウム/カルシウム比(Ba/Ca比)およびマンガン/カルシウム比(Mn/Ca比)の分析結果についても議論する。