日本地球化学会年会要旨集
2025年度日本地球化学会第72回年会講演要旨集
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G5 古気候・古環境解析
北海道白糠丘陵に記録された白亜紀-古第三紀境界隕石衝突イベントの地球化学的証拠の発見
*太田 映黒田 潤一郎林 圭一星 博幸沢田 健西 弘嗣石川 晃高嶋 礼詩
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p. 99-

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抄録

約6600万年前のK-Pg境界は、生物種の約75%が絶滅した地球史上の重大な転換点である。イリジウムをはじめとした白金族元素の濃度のピークやオスミウム同位体比(187Os/188Os)の低下は、この大量絶滅の原因と考えられている巨大隕石衝突の有力な証拠とされている。本研究では、北海道白糠丘陵に分布する根室層群において、白金族元素濃度と187Os/188Os比の高解像度分析を実施し、K-Pg境界の特定を試みた。その結果、白亜系上部の堆積層の187Os/188Os比は約0.6、古第三系最下部では約0.4の値を示し、これらはいずれも遠洋域堆積岩に記録された当時の海水の値と一致する。この同位体記録は、古地磁気層序、生層序、ジルコンU-Pb年代測定の結果と整合的である。両者の境界にあたる層準では、187Os/188Os比の最低値と、Os濃度の明瞭なピークが確認され、隕石衝突に起因する地球化学的シグナルを伴ったK-Pg境界に極めて近い層準を特定することができた。また、同地域の堆積速度は少なくとも60 cm/千年と推定され、当該層準はK-Pg境界における古環境変動を世界最高水準の時間解像度で記録している可能性が示唆された。

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