情報地質
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論説
断層を含む地質構造の表現方法
米澤 剛梶山 敦司升本 眞二塩野 清治
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2005 年 16 巻 3 号 p. 177-189

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抄録

本研究では,堆積と侵食で形成される地質構造のコンピュータ処理方法にもとづいた理論とアルゴリズムに断層運動を組み込む方法を提案する.堆積と侵食で形成される地質構造は地質体の分布域を面で囲まれた領域として表現でき,その地質体と面の論理的関係は地質構造の論理モデルとよばれる.堆積や侵食により地質構造が変化する過程を地質体の分布域と面の関係という視点で見たとき,地質構造の論理モデルにはその形成過程に対応した一定の規則が存在し,それは漸化式の形で表現されている.断層運動に対しては断層面が既存の地質体と上部空間を含む3次元空間を2つの領域に分割し,それぞれの領域中の地質構造はそのまま保存されるという規則を新たに定義した.これにより,堆積や侵食で形成される地質構造の論理モデルを導く漸化式に断層運動を無理なく組み込むことができ,断層を含む地質構造の論理モデルを漸化式の形で表現できた.また,この漸化式から複数の断層で切られた地質構造の論理モデルを導くことができる.断層を含む地質構造の論理モデルを導入することにより,地質構造の論理モデルを基礎とした従来の地質構造のコンピュータ処理方法の流れを変更することなく断層を含む地質図が作成できる.

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© 日本情報地質学会
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