情報地質
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ハードとソフトデータのジョイント解析による対象物性の空間分布推定法の改良
-衛星画像を用いた海域水温分布モデリングへの適用例-
田村 綾子小池 克明劉 春学
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2006 年 17 巻 1 号 p. 27-40

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抄録

 ハードとソフトデータの組み合わせによる広域変数の空間分布推定精度の向上において,代表的なソフトデータであるリモートセンシング画像の有用性を実証することを目的とし,有明海での海面温度と水深方向の温度分布の推定問題をケーススタディに選んだ.まず,空間モデルが実測値を通る条件付き推定にするために,LANDSAT TMバンド6データを取り入れた多変量解析による海面温度推定分布,および各測点での推定値や実測データを用いたオーディナリ・クリギングによる分布の3つを組み合わせた.その結果,温度の分布範囲と空間的変化が増加し,局所的に高温域や低温域が現れるようになった.次に,海面で実測データのクリギング値と条件付き推定値との差が大きい地点は,水深方向でも大きいという仮定に基づき,この差を用いて各水深での実測値に基づくクリギング推定温度分布を補正し,重ね合わせた.これから妥当な水温の擬似3次元モデルが得られ,水温構造の季節変化の特徴も明らかにできた.よって,リモートセンシング画像が地球統計学によるジョイント解析に有効なソフトデータとなり得ることが確かめられた.

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