情報地質
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17 巻, 1 号
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  • 正路 徹也
    2006 年 17 巻 1 号 p. 3-11
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/03/23
    ジャーナル フリー
    汚染物質jの濃度をxj,その規制値をAjとして過濃度比rj=xj/Ajを定義したとき,μとr0を正の定数としてそれらの組合せで得られる数式Σrj1/μ=r01/μで,汚染物質間の相互作用を評価することができる.すなわち,相互作用はその程度をμ(相互作用指数)で表すことができ,1) μ→0ならば独立,2) 0<μ<1ならば独立と相補的の間(あるいは負),3) μ=1ならば完全に相補的であり,4) μ>1ならば相補的よりも強い(あるいは正である).この式に従うと,ダイオキシン類の環境基準は,ダイオキシン類に属す化学物質間の相互作用が完全に相補的であるという前提の下に与えられている.石綿と喫煙に関連する肺癌の死亡率rは,rAとrCをそれぞれ石綿のみおよび喫煙のみの場合の死亡率として, r={rA1/3+rC1/3}3なる式で与えられる.この式は,両方による死亡率(約600)が,石綿のみの場合(約50)の12倍で,喫煙のみの場合(約100)の6倍であることを示している.また,環境基準が汚染物質間の相互作用を考慮することなく決められると,危険な場合が安全と評価されたり,安全な場合が危険と評価されるリスクが生じることが,上述の式から導かれる.相互作用指数を定量的に与えることができないときは,相互作用が完全に相補的であると仮定することが妥当なようである.
  • -基盤,被覆層,互層の理論的背景-
    河西 秀夫
    2006 年 17 巻 1 号 p. 13-25
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/03/23
    ジャーナル フリー
    ラベル付有向グラフを応用した層序グラフや層序グラフの数的表現である構造行列は露頭で観察される層序を表現する.層序グラフは基本的に単層同士の層序を表現する.しかし,実際の調査研究で使用される層序は,単層,地層など異なる地層レベルが混在することが多い.例えば,火山噴出物と堆積岩が存在する場合,研究目的に応じて堆積岩が基盤岩として一括される場合や火山噴出物を被覆層として1つにまとめられることが多い.層序グラフの場合,複数の地層を1つの地層にまとめる操作はグラフ理論の縮約操作で説明できる.縮約操作を用いて複数の地層を基盤岩或いは互層,被覆層として1つにまとめる理論的背景とその方法を提案した.また,層序グラフの数的表現である構造行列の場合の縮約操作についてもその方法を提案した.
  • -衛星画像を用いた海域水温分布モデリングへの適用例-
    田村 綾子, 小池 克明, 劉 春学
    2006 年 17 巻 1 号 p. 27-40
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/03/23
    ジャーナル フリー
     ハードとソフトデータの組み合わせによる広域変数の空間分布推定精度の向上において,代表的なソフトデータであるリモートセンシング画像の有用性を実証することを目的とし,有明海での海面温度と水深方向の温度分布の推定問題をケーススタディに選んだ.まず,空間モデルが実測値を通る条件付き推定にするために,LANDSAT TMバンド6データを取り入れた多変量解析による海面温度推定分布,および各測点での推定値や実測データを用いたオーディナリ・クリギングによる分布の3つを組み合わせた.その結果,温度の分布範囲と空間的変化が増加し,局所的に高温域や低温域が現れるようになった.次に,海面で実測データのクリギング値と条件付き推定値との差が大きい地点は,水深方向でも大きいという仮定に基づき,この差を用いて各水深での実測値に基づくクリギング推定温度分布を補正し,重ね合わせた.これから妥当な水温の擬似3次元モデルが得られ,水温構造の季節変化の特徴も明らかにできた.よって,リモートセンシング画像が地球統計学によるジョイント解析に有効なソフトデータとなり得ることが確かめられた.
  • 正路 徹也
    2006 年 17 巻 1 号 p. 41-46
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/03/23
    ジャーナル フリー
     ウルフ網に任意の大円と小円を描くために,MS-ExcelのVBA(Visual Basic for Application)で動くプログラムを開発した.これにより,地層面の頻度図から地層の褶曲軸を求めたり,割れ目の頻度図からそれらを形成した主応力の方向を求めることができる.また,赤道面投影および子午面投影以外に,極が任意の方向のウルフ網を描くこともできる.
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