抄録
地下水流動系は水平・垂直方向に広い範囲にわたるが,この解明は地下水資源の量と質に関する保全に不可欠である.これには深部地質構造の推定を可能とする電磁探査法の適用が有効である.本研究では,この推定精度の向上を目的とし,電磁波の周波数帯が異なるMT 法と AMT 法を組み合わせ,比抵抗分布の 3 次元モデリング法を検討した.これを地下水資源が豊富な熊本平野を研究対象に適用したところ,比抵抗分布より浅部と深部の地下水流動系は類似していることが明らかになった.また,対象領域は第 1・2 帯水層を含む深度0~500m 間の浅層地下水流動系,深度500~1500m 間で先阿蘇火山岩類を主とする浅層水理地質基盤,深度2000~3500m 間で御船層群を主とする深層帯水層,およびそれ以深で肥後変成岩を主とする深層水理地質基盤から構成されることが推定できた.