2019 年 30 巻 4 号 p. 147-159
本稿ではシンポジウムや技術講習会を通じた日本情報地質学会の教育活動を概観する.本学会の設立直後の10年間では地質情報のコンピュータ処理への理解を深めるように努力した.次の10年間には野外調査でコンピュータ資源を有効に活用できる人材の育成に努めた.学会認定の資格制度制定を計画したが,時期早尚として実施が見送られた.全地連による地質情報管理士が2006年に制定され,本学会は計画段階からその運用に協力している.最近の10年は,地質情報のコンピュータ処理は実践・検証の新しい段階に入り,主な関心はWeb-GIS,ボーリングデータベースの利活用,三次元地質モデリングのような実用的な解析システムに移行している.この社会的要請にこたえるためには大学においてカリキュラムに情報地質学関連科目を組み込む必要がある.参考事例として,大阪市立大学と岡山理科大学の先進的なカリキュラムを簡略に紹介する.本学会は今後も引き続き幅広い範囲の地質関連業務における情報化を推し進める人材の育成に中心的な役割を担っていくであろう.