情報地質
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多変量回帰モデルによる地下水位の季節変動の解析*
小池 克明土井 英太郎大見 美智人
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1991 年 2 巻 3 号 p. 255-263

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抄録
降雨水や河川からの浸透水によって涵養される地下水の水位は季節的に変動し, その変動の形態は地域ごとに異なる.これは帯水層の透水性や涵養源からの距離の差異などに起因する現象であると考えられる.本論文では, このような地下水位の変動を確率的に予測する回帰分析法について述べる.
回帰分析の一手法である自己回帰モデルは, 時系列データを対象とし, 変動の予測に用いることができる.本研究では2つの時系列データを関連付けるために, 自己回帰モデルを拡張した多変量回帰モデルを検討し, これを熊本平野における降水量と地下水位との関係のモデル化に適用した。まず, 台地部, その末端部, 低地帯に位置する9つの観測井で観測された地下水位データに基づき, AICを判断規準として最適のモデルを作成した.次に, 地盤情報データベースに収められたボーリングデータの各位置での水位は, 最も近くに位置する観測井の水位データと同じ確率的構造をもつと仮定し, 全データを9つのグループに分けた.各グループに対する多変量回帰モデルに月別の平均降水量を入力することで, 一般的な地下水位の季節変動を広域的に推測することが可能となった.さらに, 傾向面解析を用いて, 季節ごとに地下水の流動モデルを作成し, その特徴を明らかにした.
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© 日本情報地質学会
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