情報地質
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2 巻, 3 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 小池 克明, 土井 英太郎, 大見 美智人
    1991 年2 巻3 号 p. 255-263
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    降雨水や河川からの浸透水によって涵養される地下水の水位は季節的に変動し, その変動の形態は地域ごとに異なる.これは帯水層の透水性や涵養源からの距離の差異などに起因する現象であると考えられる.本論文では, このような地下水位の変動を確率的に予測する回帰分析法について述べる.
    回帰分析の一手法である自己回帰モデルは, 時系列データを対象とし, 変動の予測に用いることができる.本研究では2つの時系列データを関連付けるために, 自己回帰モデルを拡張した多変量回帰モデルを検討し, これを熊本平野における降水量と地下水位との関係のモデル化に適用した。まず, 台地部, その末端部, 低地帯に位置する9つの観測井で観測された地下水位データに基づき, AICを判断規準として最適のモデルを作成した.次に, 地盤情報データベースに収められたボーリングデータの各位置での水位は, 最も近くに位置する観測井の水位データと同じ確率的構造をもつと仮定し, 全データを9つのグループに分けた.各グループに対する多変量回帰モデルに月別の平均降水量を入力することで, 一般的な地下水位の季節変動を広域的に推測することが可能となった.さらに, 傾向面解析を用いて, 季節ごとに地下水の流動モデルを作成し, その特徴を明らかにした.
  • ファジィ多変量回帰モデルとファジィコンターリングの定式化とその応用
    小池 克明, 大見 美智人
    1991 年2 巻3 号 p. 265-274
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    多変量データ間の関係をモデル化する場合, 通常は確率論に基づいた線形回帰分析が用いられる.これに対し, 線形システムの係数をファジィ数として表すファジィ線形回帰分析が提唱されている.この手法は, ファジィ回帰係数から入力データと出力データとの線形関係のあいまい性が推測できる, およびモデルによる推定値は幅をもち, その幅は入力データごとに異なる, という特徴をもつ.
    本研究では, これらの特徴を利用する例として, 多変量回帰モデルとコンターリングのファジィ化を試みた.ファジィ多変量回帰モデルは, 熊本平野の降水量と4つの観測井における地下水位との関係に適用し, 相関の強さを評価するとともに地下水位の変動モデルを作成した.一方, 母体の異なるデータが混在する場合の補間法として, ファジィコンターリングを定式化した.これを砂礫と粘性土が混在するモデル地盤のN値の補間に応用したところ, 異なる土質の境界付近で推定幅が大きくなることが確かめられた.
  • 中野 司, 藤井 直之
    1991 年2 巻3 号 p. 275-295
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    画像データを用いて, そこに映されているネットワーク状の領域 (ネットワーク領域) を伝って電流や粘性流体の流れの解析を行うためのアルゴリズムを説明する.本論文で述べられているネットワーク解析とは以下のようなものである.ます, 画像データ中のネットワーク領域の三角形分割 (中野・藤井, 1991b) の情報をもとにして, ネットワークのモデルとしてしばしば用いられるPore-Channel (PC) モデルを構築する.次に, 流体がそのネットワークを流れる場合に, それぞれのChannelを流れる流体の受けるChannelの形状による抵抗値を求め, それをもとにネットワークを抵抗網モデルで近似する.この抵抗網全体の抵抗値を計算することによって, 画像データに映された物体の巨視的な浸透率や電気伝導度を計算することができる.以上の処理を実際に行うためのプログラムを本文では紹介する.
  • 渡部 芳夫, 岩森 光
    1991 年2 巻3 号 p. 297-304
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    中性子線放射化分析のためのγ線スペクトル解析システムを開発した.本システムは, 4096チャンネルにアナログ・デジタル変換されたデータを入力することにより, ごく普通のパーソナルコンピューター上でスペクトル解析及び定量計算を行うものである.本システムの特徴は, ピークの自動検索だけでなく, ピーク及びベースライン曲線の関数スムージングも同時に行える点である.細かい条件を設定しての関数フィッティングだけでなく, 自動処理が不適当なピークについては, コーベル法による手動計算も行える.また, 本システムはベーシック言語で書かれたソースファイルと共に, 一般の利用のために公開されている.
  • 岩松 暉
    1991 年2 巻3 号 p. 305-314
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ステレオ投影は地質学・地震学・岩盤工学などで多用されている.しかし, 現在の大学生には, 高等学校で立体幾何学を教わってこなかったためか, 3次元的な感覚が身についていない人が多い.このため, 大学生でさえステレオ投影を理解することは難しいらしい.そこで, 球面投影とウルフ網を同時に示し, 球面上の点や大円が投影面上とウルフ網上でどのようにプロットされるかリアルタイムで表示するCAIプログラムを開発した.また, このアプリケーションとして, 共役断層から応力場を求める, いわゆる小断層解析法のCAIプログラムも開発した.
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