地質学雑誌
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論説
年代学からみた飛騨外縁帯の構造発達史: 高圧変成岩類のK-Ar年代と蛇紋岩に接触変成作用を与えた花崗岩類のU-Th-Pb EMP化学年代からの制約
椚座 圭太郎後藤 篤板谷 徹丸横山 一己
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2004 年 110 巻 10 号 p. 580-590

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抄録

飛騨外縁帯の青海, 白馬—八方, 蒲田, 伊勢地域から21試料の高圧変成岩類の白雲母のK-Ar年代を測定した. 19試料の年代幅は283-338Maで, 飛騨外縁帯全体が西南日本蓮華帯の約300Ma高圧変成岩類からなる沈み込み変成帯の一部であることが確実になった. 一方, 周防帯の約200Ma高圧変成岩類に相当するものは, 認められなかった.
蛇紋岩に接触変成作用を与えている花崗岩類のジルコン, モナザイト, トール石のU-Th-Pb EMP化学年代測定は, 蛇紋岩の上昇が白馬-八方地域では古第三紀, 蒲田地域でも白亜紀 (約100Ma) 以降であったことを示す. ペルム紀付加体のオリストリスとして産したりジュラ紀の来馬層群に覆われる蛇紋岩もあるので, 蛇紋岩とそれに取り込まれた高圧変成岩類の上昇および飛騨外縁帯の変形は, ペルム紀から少なくとも古第三紀以降まで続いている.

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© 2004 日本地質学会
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