地質学雑誌
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論説
関東山地北東部の中新世礫岩から想定される領家ナップ
小野 晃
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2004 年 110 巻 7 号 p. 395-402

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抄録

関東山地北東部の三波川帯や秩父帯に分布する中新世礫岩に, 領家帯やその近傍に分布する変成岩や花崗岩に類似する礫が認められ, その供給源は堆積場の近傍にあった領家ナップと推定される. 領家ナップ起源の礫は多種多様であるが, 特徴的な岩石は領家変成岩, 白亜紀後期の花崗岩およびマイロナイトである. マイロナイト礫についてはK-Ar黒雲母年代を測定し, 鹿塩マイロナイトとの類似性を明らかにした. 領家ナップは跡倉ナップの構造的上位にあり, 中新世中期には秩父盆地北東部の跡倉ナップ先端部を覆っていた. その付近には領家ナップと秩父帯の岩石がおもに露出し, 中新統の礫の供給源であった.

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© 2004 日本地質学会
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