地質学雑誌
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110 巻, 7 号
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論説
  • 植木 岳雪, 鈴木 毅彦
    2004 年 110 巻 7 号 p. 389-394
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/07
    ジャーナル フリー
    東北日本の八甲田カルデラの周辺には, 新しい方から八甲田第2期火砕流堆積物 (Hkd2), 八甲田第1期火砕流堆積物 (Hkd1), 八甲田第0期火砕流堆積物 (Hkd0) および黄瀬川火砕流堆積物 (Osg) の4枚の火砕流堆積物が分布している. これらの火砕流堆積物の古地磁気測定を行った結果, Hkd2およびHkd1は正帯磁, Hkd0およびOsgは逆帯磁であった. このことは, Hkd1と日本各地のBrunhes/Matuyama Chronozone境界直上のテフラとの広域対比の確度をより高めるものである.
  • 小野 晃
    2004 年 110 巻 7 号 p. 395-402
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/07
    ジャーナル フリー
    関東山地北東部の三波川帯や秩父帯に分布する中新世礫岩に, 領家帯やその近傍に分布する変成岩や花崗岩に類似する礫が認められ, その供給源は堆積場の近傍にあった領家ナップと推定される. 領家ナップ起源の礫は多種多様であるが, 特徴的な岩石は領家変成岩, 白亜紀後期の花崗岩およびマイロナイトである. マイロナイト礫についてはK-Ar黒雲母年代を測定し, 鹿塩マイロナイトとの類似性を明らかにした. 領家ナップは跡倉ナップの構造的上位にあり, 中新世中期には秩父盆地北東部の跡倉ナップ先端部を覆っていた. その付近には領家ナップと秩父帯の岩石がおもに露出し, 中新統の礫の供給源であった.
  • 小柳津 篤, 君波 和雄
    2004 年 110 巻 7 号 p. 403-416
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/07
    ジャーナル フリー
    四国西部の中村市東方には, 白亜紀末から古第三紀初期にかけての四万十累層群が連続的に分布している. この地域の四万十累層群の砂岩の岩石学的・地球化学的特徴を検討し, 後背地の変遷に関していくつかの新たな事実を明らかにした. また, この地域の四万十累層群の岩相や堆積年代, これと同時期の三波川変成帯における諸イベントなどを考慮して, 次のような結論を得た.
    i) 白亜紀後期から引き続いて前期暁新世まで珪長質火山岩類を主体とする西南日本内帯の供給源から四万十帯に砕屑物が供給された. ii) 後期暁新世には三波川帯の露出と浸食があり, ここから四万十帯に砕屑物が供給された. iii) 中期~後期始新世には西南日本内帯でunroofingが進行し, 多くの花崗岩類が供給源に出現した. iv) 三波川帯の上昇運動には, サントニアン~カンパニアン期に多量の砕屑物が四万十帯へ供給されたことと, それに伴う大量のunderplatingが関与していると推定される.
  • —テフラ層序および広域テフラ層との対比に基づく北陸層群の堆積年代—
    田村 糸子, 山崎 晴雄
    2004 年 110 巻 7 号 p. 417-436
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/07
    ジャーナル フリー
    金沢から富山にかけて分布する鮮新—更新統, 北陸層群に挟在するテフラ層序を明らかにし, 30層のテフラ層を記載した. 本地域に分布する釣部1, 砂子谷1, 砂子谷2, 寺町, OL2a, MT2・Chk, O1, O2, O3, ptの各テフラ層は, その記載岩石学的特性から, Ya-4, 坂井・Ya-5, 小鈴谷 (4 Ma), 大田-ZnP (3.7 Ma), T2, 谷口 (2.2-2.3 Ma), 坂東2 (2.1 Ma), 恵比須峠-福田 (1.75 Ma), 大峰-SK110 (1.65 Ma), 上宝 (0.6 Ma) の各テフラ層に対比される. この対比から大桑層中部が鮮新—更新世境界層準であり, 大桑層の下限は2.3 Maより古くなることが明らかとなった. そして高窪層上部の堆積年代は3 Ma頃で, 従来考えられていた長時間に及ぶ無堆積状態は存在しないことが示された. また富山平野東部の呉羽山礫層の堆積年代から, 飛騨山地は, 後期鮮新世には隆起を開始していたことが明らかとなった.
口絵
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