地質学雑誌
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論説
四国西部四万十帯における白亜紀後期から古第三紀初期にかけての後背地の変遷とその意義
小柳津 篤君波 和雄
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2004 年 110 巻 7 号 p. 403-416

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抄録

四国西部の中村市東方には, 白亜紀末から古第三紀初期にかけての四万十累層群が連続的に分布している. この地域の四万十累層群の砂岩の岩石学的・地球化学的特徴を検討し, 後背地の変遷に関していくつかの新たな事実を明らかにした. また, この地域の四万十累層群の岩相や堆積年代, これと同時期の三波川変成帯における諸イベントなどを考慮して, 次のような結論を得た.
i) 白亜紀後期から引き続いて前期暁新世まで珪長質火山岩類を主体とする西南日本内帯の供給源から四万十帯に砕屑物が供給された. ii) 後期暁新世には三波川帯の露出と浸食があり, ここから四万十帯に砕屑物が供給された. iii) 中期~後期始新世には西南日本内帯でunroofingが進行し, 多くの花崗岩類が供給源に出現した. iv) 三波川帯の上昇運動には, サントニアン~カンパニアン期に多量の砕屑物が四万十帯へ供給されたことと, それに伴う大量のunderplatingが関与していると推定される.

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© 2004 日本地質学会
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