地質学雑誌
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論説
山口県西部に分布する上部ジュラ系~下部白亜系礁性石灰岩の堆積環境
白石 史人吉冨 健一
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2005 年 111 巻 1 号 p. 21-28

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抄録

山口県豊浦郡豊浦町室津に分布する豊西層群(上部ジュラ系~下部白亜系)には現地性のサンゴに富む礁性石灰岩が存在する.サンゴは上方に成長し,フレームワークを形成している石灰岩層のみならず,泥岩優勢層でも認められる.サンゴには二つの成長形態が認められ,塊状のものは比較的高エネルギー環境を示し,枝状のものは低エネルギー環境を示す.浅く穏やかな環境から多く報告されているカサノリ類は,枝状サンゴと同じ層準で見られる.本石灰岩は1)石灰質砂岩から明瞭な境界をもって礁性のframestoneに変化し,2)層孔虫・石灰海綿・ヒドロ虫類・被覆微生物・ウーイドが見られない点で,日本に分布する他の上部ジュラ系~下部白亜系炭酸塩岩(例えば,鳥巣石灰岩)と異なる特徴をもつ.

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© 2005 日本地質学会
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