地質学雑誌
Online ISSN : 1349-9963
Print ISSN : 0016-7630
ISSN-L : 0016-7630
特集 ヒマラヤ-チベットの隆起とアジア・モンスーンの進化,変動
宇宙線照射生成核種を用いた地球表層プロセスの研究
横山 祐典阿瀬 貴博村澤 晃松崎 浩之
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 111 巻 11 号 p. 693-700

詳細
抄録

宇宙線との相互作用によって地球表層で岩石中に生成される核種(TCN)は, 加速器質量分析計(AMS)の発達によって, 地球表層プロセスの研究に急速に広く用いられるようになってきた. TCN研究では半減期の違う複数の核種を組み合わせることによって, 侵食速度, 埋没履歴などを求めることが可能である. 現在はTCNのうち, 10Beや26Alの測定がAMSにより活発に行われてきている. 現在のところTCNの絶対量の誤差は約10%と大きいが, それでもこれらの測定結果を使って, テクトニクスや気候変動についての新しい知見が得られるようになった. チベットにおいての研究例も増え始めており, 今後サンプリング地点を増やし測定を活発に行うことによって, インドのユーラシア衝突によって引き起こされているチベット地域のテクトニクスの詳細や気候変動を細かく明らかにすることができる.

著者関連情報
© 2005 日本地質学会
前の記事 次の記事
feedback
Top