2005 年 111 巻 6 号 p. 361-368
関東山地秩父帯,名栗断層帯の南端部,坂本地域に露出するざくろ石花崗岩のジルコンのCHIME年代を測定した.測定結果は432±40 Maで,これはジルコンの結晶年代であり,本花崗岩の形成年代とみなされる.この年代は西南日本各地の黒瀬川帯の花崗質岩から得られている各種放射年代(378-447 Ma)と調和的であることから,本花崗岩は黒瀬川帯の構成岩石と判断される.これによって,その構造的位置,岩石の産出様式・岩石学的特徴・岩石化学的性質から名栗断層帯を黒瀬川帯の東方延長とみなす見解が確定した.