地質学雑誌
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論説
群馬県の中新統下仁田層から産出した化石イガイ科二枚貝 Mytilus tichanovitchi Makiyama-その生層序学的・海洋古気候学的意義の再検討-
栗原 行人中野 孝教小笠原 憲四郎
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2005 年 111 巻 8 号 p. 498-507

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抄録
群馬県安中富岡地域の下仁田地区に分布する中新統下仁田層岩山砂岩部層から化石イガイ科二枚貝, Mytilus tichanovitchiの産出を報告する.下仁田層における産状・共産貝類化石は本種が上部浅海帯砂底に生息していたことを示す.本州における本種の層序的分布範囲は門ノ沢動物群の産出層準よりも明らかに下位に位置し,下部中新統に限定される.下仁田層産 Mytilus tichanovitchi殻のストロンチウム同位体比(87Sr/ 86Sr)も前期中新世の年代を示唆する.本種と共産する貝類化石の群集特性は中間温-冷温帯の海洋気候を示しており,本州中部における本種の産出は約18 Maの汎地球的寒冷化イベントと関連していた可能性がある.
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© 2005 日本地質学会
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