地質学雑誌
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特集 日高衝突帯研究の最近の進歩 (1) -その深部過程と上昇過程
日高島弧(日高変成帯主帯)下部地殻における高度変成岩の部分溶融
小山内 康人大和田 正明志村 俊昭中野 伸彦川浪 聖志小松 正幸
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2006 年 112 巻 11 号 p. 623-638

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抄録
日高変成帯主帯下部地殻は,現在地表に露出しているグラニュライト相変成岩分布域(IV帯)および主要部分溶融帯からなる.後者は現在地表に露出しないが,レスタイトと見なされるザクロ石-斜方輝石グラニュライト(トーナル岩の包有物)などから,その存在が推定される.IV帯の泥質グラニュライトでは,黒雲母の脱水溶融反応が起こり,自形の斜方輝石やAn成分に富む斜長石および菫青石を含む様々なリューコゾームが形成された.互層する苦鉄質グラニュライトでもホルンブレンドの脱水溶融が起こり,生成したメルトはブーダンネックなどへ濃集し,含斜方輝石リューコゾームを形成したと見なされる.IV帯における部分溶融度は比較的小さいが,生成したメルトは地殻下部岩石の塑性流動化とデュープレックス構造の形成に関与した.主要部分溶融帯で生成したメルトは移動・濃集してトーナル岩マグマとして挙動し,シート状岩体を形成した.
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© 2006 日本地質学会
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