地質学雑誌
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論説
西南日本の中新世テクトニクスに対する新たな年代制約:
愛知県設楽地域におけるフィッション・トラック年代測定
星 博幸檀原 徹岩野 英樹
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2006 年 112 巻 2 号 p. 153-165

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抄録
西南日本の時計回り回転や垂直運動などの事件に年代制約を与える目的で,愛知県設楽地域の北設亜層群と設楽火成複合岩体から32個の岩石試料を採取しジルコンのFT年代を測定した.北設亜層群上部の凝灰岩は17.5 Ma前後のFT年代を示し,これは生層序年代と調和する.他方,設楽火成複合岩体の珪長質噴出物のFT年代は15 Ma前後に集中し,これは膨大な噴出物が約15 Maの短期間に定置したことを示す.こうした結果と地質,古地磁気,古応力場に関するデータから,筆者らは次のようなモデルを提案する:(1)北設亜層群は西南日本の主要な時計回り回転の直前にあたる17.5 Ma頃に,西南日本マイクロプレートが沈降しながら南方へ移動していた状況下で堆積した;(2)西南日本の時計回り回転は15 Maには既に終了していた;(3)西南日本と四国海盆の接合,およびそれによって生じた広域的な地殻隆起は,15 Maより少し前に起きた.
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© 2006 日本地質学会
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