地質学雑誌
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論説
札幌市街域における150 m掘削コアの第四系層序
嵯峨山 積五十嵐 八枝子近藤 務鎌田 耕太郎吉田 充夫地徳 力外崎 徳二工藤 千春岡村 聰加藤 誠
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2007 年 113 巻 8 号 p. 391-405

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抄録
札幌市市街域の北海道大学構内で,1981年の掘削で得られた150 mコアの第四系層序を明らかにするために,14C年代測定,堆積相解析,火山灰分析,花粉分析,珪藻分析,放散虫分析を行った.孔内地質はHU-1層~HU-9層に区分され,分析結果に基づく野幌丘陵との地層対比では,HU-1層~HU-3層(深度150~75 m)は前・中期更新世の下野幌層,HU-4層~HU-5層(深度75~35 m)は後期更新世のもみじ台層,HU-6層(深度35~34 m)は後期更新世の小野幌層,HU-7層~HU-8層(深度34~7.8 m)は後期更新世の札幌扇状地堆積物,HU-9層(深度7.8~0 m)は完新統に相当することが明らかになった.最終間氷期堆積物であるHU-4層~HU-5層からは,寒冷期や温暖期が確認され,今後の石狩低地帯南部の第四系との詳細な対比の可能性が生じた.既存井との地層対比では,150 mコアの深度130 m(標高-119 m)付近に挟在する下野幌層相当層中の泥炭は,隣接する2本の井戸の標高-110 m付近に認められる亜炭質層と連続し,更には石狩海岸平野下の下野幌層相当層の標高-102~-126 mに挟在する泥炭に対比される.
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© 2007 日本地質学会
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