地質学雑誌
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113 巻, 8 号
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論説
  • 嵯峨山 積, 五十嵐 八枝子, 近藤 務, 鎌田 耕太郎, 吉田 充夫, 地徳 力, 外崎 徳二, 工藤 千春, 岡村 聰, 加藤 誠
    2007 年113 巻8 号 p. 391-405
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/06/17
    ジャーナル フリー
    札幌市市街域の北海道大学構内で,1981年の掘削で得られた150 mコアの第四系層序を明らかにするために,14C年代測定,堆積相解析,火山灰分析,花粉分析,珪藻分析,放散虫分析を行った.孔内地質はHU-1層~HU-9層に区分され,分析結果に基づく野幌丘陵との地層対比では,HU-1層~HU-3層(深度150~75 m)は前・中期更新世の下野幌層,HU-4層~HU-5層(深度75~35 m)は後期更新世のもみじ台層,HU-6層(深度35~34 m)は後期更新世の小野幌層,HU-7層~HU-8層(深度34~7.8 m)は後期更新世の札幌扇状地堆積物,HU-9層(深度7.8~0 m)は完新統に相当することが明らかになった.最終間氷期堆積物であるHU-4層~HU-5層からは,寒冷期や温暖期が確認され,今後の石狩低地帯南部の第四系との詳細な対比の可能性が生じた.既存井との地層対比では,150 mコアの深度130 m(標高-119 m)付近に挟在する下野幌層相当層中の泥炭は,隣接する2本の井戸の標高-110 m付近に認められる亜炭質層と連続し,更には石狩海岸平野下の下野幌層相当層の標高-102~-126 mに挟在する泥炭に対比される.
  • 田沢 純一, 長谷川 美行
    2007 年113 巻8 号 p. 406-416
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/06/17
    ジャーナル フリー
    銚子の上部ペルム系愛宕山層(高神礫岩)から報告されている10属15種のフズリナ類について分類学的再検討を行い,南部北上帯(南部北上山地)と黒瀬川帯(九州)のペルム紀フズリナ類と比較した.その結果,銚子フォーナは,種属構成において黒瀬川帯のものにより近似するが,両者のおおよそ中間的な性格を持つフォーナであることが判明した.このことは,南部北上帯と黒瀬川帯が構造的に一連の帯であることを示唆する.銚子地域のペルム系愛宕山層とその上に不整合で重なる可能性の高い白亜系銚子層群は関東山地の黒瀬川帯に属し,南部北上帯-黒瀬川帯のほぼ中間に位置する地質体であると考えられる.
  • 松川 正樹, 福井 真木子, 小荒井 千人, 浅倉 努, 青野 宏美
    2007 年113 巻8 号 p. 417-437
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/06/17
    ジャーナル フリー
    飛騨市古川町地域に分布する手取層群を下位より種村層,沼町層,杉崎層/栃尾層,太江層,稲越層に区分した.アンモナイトの産出により稲越層はHauterivian階~Barrremian階に対比される.また,杉崎層からも海生二枚貝類が産出するので,本地域の手取層群では2回の海進が認められた.種村層から稲越層への層序は,Tithonian期~Barremian期を示す.これにより,手取層群では,ジュラ紀中期のBathonian期~Oxfordian期,ジュラ紀-白亜紀境界のTithonian期~Berriasian期,白亜紀のHautervian期~Barremian期の3回の海進が認められた.稲越層から産するアンモナイトの類縁種と海生二枚貝化石の同種が中国黒竜江省東部の云山層から産出するので,Hautervian期~Barremian期に手取地域と中国黒竜江省東部は共に北からの海流の影響を受けたことが示された.
  • 歌田 実
    2007 年113 巻8 号 p. 438-453
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/06/17
    ジャーナル フリー
    山陰地方中部の新第三系(砕屑岩を除く)の変質をX線粉末法により調べた.その結果,この地域の変質は続成作用,広域中性変質作用,ホルンフェルシック変質作用,熱水変質作用,風化作用によるものであることが区別された.ホルンフェルシック変質は分布が極めて小さく,風化作用については記載を省略した.
    続成変質岩は沸石類により特徴付けられ,広域中性変質岩はスメクタイト-緑泥石系によって特徴付けられる.熱水変質岩は多数の変質鉱物によって構成されているが,脈状のものと層状のものに大きく分けられる.続成変質岩には種々の層準で他のタイプの変質が重複しているが,その様相は地域により異なっている.
    変質岩の帯磁率の測定を行った結果,変質作用の種類によって有意の差異があることが判明した.
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