抄録
根田茂帯はジュラ紀付加体の北部北上帯と古生代島弧・浅海相の南部北上帯との境界に分布する.根田茂帯は前期石炭紀付加体である根田茂コンプレックスからなるが,その中に高圧型変成岩類をテクトニックブロックとして含む(建石片岩類).建石片岩類の苦鉄質片岩とザクロ石-石英-白雲母片岩について白雲母40Ar/39Ar年代を段階加熱法で測定した結果,ともに約380 Maの年代を示すことが明らかになった.この年代値は根田茂帯の付加年代(約350 Ma)より少なくとも30 myr 古く,建石変成岩類は根田茂コンプレックス自体の変成相ではなく,先石炭紀付加体の高圧変成相と考えられる.