地質学雑誌
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論説
北海道東部阿寒火砕堆積物中に挟在する複数の広域火山灰層と北海道中央部に分布する大規模火砕流堆積物との対比
長谷川 健石井 英一中川 光弘
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2008 年 114 巻 7 号 p. 366-381

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抄録

北海道東部の阿寒火砕堆積物(上位から, Ak1~Ak17)に挟在する6層の広域火山灰(上位から, HR-1~HR-6)と,北海道中央部の大規模火砕流について,火山ガラス組成,鉱物組み合わせおよび層序などの点から対比の検討を行った.その結果,HR-5,-6と十勝火砕流堆積物(1.3~1.46 Ma),HR-4と十勝三股火砕流堆積物(1.0 Ma),HR-2と上然別軽石流堆積物,そしてHR-1と上旭ヶ丘軽石流堆積物がそれぞれ対比された.さらに,上旭ヶ丘軽石流堆積物からは約0.51 MaのK-Ar年代を得た.以上から,北海道中央部と東部では,前期~中期更新世の80万年間にわたって大規模な火砕噴火活動が並行していたことが明らかとなった.特にAk14とこれに挟在するHR-5との間には,古土壌などが示す顕著な時間間隙が存在しないことから,この時期では北海道中~東部で同時噴火が起こっていた可能性を指摘できる.

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© 2008 日本地質学会
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