2008 年 114 巻 8 号 p. 389-404
山形県新庄盆地西縁部に分布する鮮新統の堆積相解析を行い,4つの堆積シーケンスに区分した.そして,各シーケンスの堆積相,古流向,層厚の時空的変化を解析し,古地理を復元した.その結果,鮮新世初期まで出羽丘陵を横切って日本海まで続く堆積盆の一部であった新庄盆地は,まず南西部,次に北部,その後全域が陸化して,現在のような内陸盆地が形成されたことが明らかになった.このような古地理の変化は,約5 Maに開始された出羽丘陵の隆起により引き起こされたと考えられる.隆起は広範囲に一斉に起こったのではなく,まず出羽丘陵南部で,続いて北部,そして最後に現在の最上川流路域で開始された.この隆起開始時期の違いが新庄盆地の古地理の変遷をもたらし,また,先行河川である最上川流路を決定したと考えられる.