地質学雑誌
Online ISSN : 1349-9963
Print ISSN : 0016-7630
ISSN-L : 0016-7630
114 巻, 8 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
論説
  • 守屋 俊治, 鎮西 清高, 中嶋 健, 檀原 徹
    2008 年114 巻8 号 p. 389-404
    発行日: 2008/08/15
    公開日: 2009/03/25
    ジャーナル フリー
    山形県新庄盆地西縁部に分布する鮮新統の堆積相解析を行い,4つの堆積シーケンスに区分した.そして,各シーケンスの堆積相,古流向,層厚の時空的変化を解析し,古地理を復元した.その結果,鮮新世初期まで出羽丘陵を横切って日本海まで続く堆積盆の一部であった新庄盆地は,まず南西部,次に北部,その後全域が陸化して,現在のような内陸盆地が形成されたことが明らかになった.このような古地理の変化は,約5 Maに開始された出羽丘陵の隆起により引き起こされたと考えられる.隆起は広範囲に一斉に起こったのではなく,まず出羽丘陵南部で,続いて北部,そして最後に現在の最上川流路域で開始された.この隆起開始時期の違いが新庄盆地の古地理の変遷をもたらし,また,先行河川である最上川流路を決定したと考えられる.
  • 池田 昌之, 山路 敦
    2008 年114 巻8 号 p. 405-414
    発行日: 2008/08/15
    公開日: 2009/03/25
    ジャーナル フリー
    新潟県長岡市北東方の東山背斜について,形成時期を解明するため,詳細な地質図を作成し,古流向と小断層を調べた.中新統最上部から下部鮮新統にわたる荒谷層と牛ヶ首層の古流向分布は,当時の堆積物供給の軸が東山背斜の軸部から枝分かれするパターンを示す.このような古流向分布が長期間存続し,かつ現在の背斜軸部にも両層が堆積したことから,東山背斜の隆起は牛ヶ首層堆積時までは遡らない,すなわち約3 Ma以降に始まったと推定される.また,地層の分布から,牛ヶ首層の層厚が東山背斜の軸部より東側で大きくなるように見える.これは東山背斜の堆積同時成長を示すかに見えるが,層厚変化は断層による見かけのことに過ぎない.実際,東部地域で地質図規模の正断層が発見され,小断層も正断層が多数を占め,ほぼ南北方向の伸張変形を示す.つまり,この層厚変化は,調査地域の北にある複背斜との間の構造的鞍部に向かうgravitational spreadingの結果であると解釈される.
  • 川村 教一, 篠原 俊憲
    2008 年114 巻8 号 p. 415-425
    発行日: 2008/08/15
    公開日: 2009/03/25
    ジャーナル フリー
    ボーリングコアを用いて愛媛県西予市宇和盆地に分布する宇和層,中位段丘構成層の層序の確立および対比を行った.宇和層は最下部,下部,中部,上部に区分できる.挟在する火山灰層のうち25層について,その記載岩石学的特徴に基づいて対比と年代を検討した.その結果,下位より,宇和1火山灰は敷戸テフラおよびイエローI火山灰に,宇和20火山灰は誓願寺栂テフラに,宇和23火山灰は樋脇テフラに,宇和24火山灰は小林笠森テフラに,宇和26火山灰は加久藤テフラにそれぞれ対比される.また,盆地南端の中位段丘構成層中の稲生火山灰は,阿蘇2テフラに対比される.
    火山灰の対比から,宇和層のうち,最下部が少なくとも1.3 Ma以前に形成が始まり約1.0 Maまで,下部は約1.0 Maから0.33 Maまで,中部は約0.33 Ma以降,上部は後期更新世で約0.026 Ma以前に形成された.また,中位段丘構成層は,中期更新世末の0.2~0.1 Ma前後に形成された.
ノート
  • 大橋 聖和, 小林 健太, 間嶋 寛紀
    2008 年114 巻8 号 p. 426-431
    発行日: 2008/08/15
    公開日: 2009/03/25
    ジャーナル フリー
    To make thin sections or polished slubs of the brittle fault rocks like fault gouge and fault breccia without volume loss, is pretty difficult because of its fragility and softness. In general, the reinforcement by resin is performed in such specimens, but it's not so effective for the brittle fault rocks that contain swelling clay minerals. Additionally, detailed and through instructions about how to make thin sections of these rocks have not been published. Therefore, we introduce the grinding method which does not use the water for brittle fault rocks and altered rocks containing swelling clay minerals. With this method, we can make the thin sections, polished slubs, even sections specially prepared for SEM, TEM, EPMA analyses of noncohesive fault rocks containing swelling clay minerals without volume loss.
feedback
Top