地質学雑誌
Online ISSN : 1349-9963
Print ISSN : 0016-7630
ISSN-L : 0016-7630
論説
白亜系関門層群塩浜層の古土壌,堆積相および古環境
堀内 悠久田 健一郎Lee Yong Il
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 114 巻 9 号 p. 447-460

詳細
抄録

本研究では,白亜系関門層群塩浜層の堆積相解析と塩浜層中の古土壌の記載を行い,塩浜層の古土壌の形成環境を明らかにした.調査地域の塩浜層は,岩相をもとに下部層,中部層,上部層の3つに区分される.堆積相解析の結果,下部層では,古土壌が厚く累積して発達するような扇状地末端部,あるいは平原の河川システムの安定した氾濫原に堆積物重力流が流入する環境であった.中部層は堆積物重力流の流入が頻繁な扇状地中部から上流部であった.上部層は,シート状流などの水流による堆積物の卓越する扇状地の中部付近の環境であった.氾濫原堆積物に含まれる赤色岩層は下部層と上部層でよく発達し,古土壌の特徴を示す.カルクリートや鏡肌などの特徴から,本研究地域の古土壌は,雨季と乾季が繰り返す半乾燥~半湿潤気候下で形成されたと考えられる.

著者関連情報
© 2008 日本地質学会
前の記事 次の記事
feedback
Top