地質学雑誌
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論説
北陸および信越地域における後期新生代の地質構造発達史
竹内 章
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2010 年 116 巻 11 号 p. 624-635

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抄録

東北日本弧と西南日本弧にまたがる北陸および信越地域は,新生代末の衝上断層褶曲帯であり,中規模の地殻内地震が頻発することで特徴づけられる.最近刷新されたテフラ年代学にもとづいて,この地域の地形地質発達史を総括した.
この地域の海岸平野は前期中新世から存続してきた堆積盆地であり,南北,東西,北東-南西の3構造方向からなる交差構造が発達した.第四紀には海岸平野に接する山地・丘陵の麓にある北東-南西走向の逆断層運動が活発で,強い地殻内地震が発生する.しかし,同じ逆断層区でありながら,北部フォッサマグナ地区では典型的な反転構造が発達し,北陸の堆積盆地では,境界断層による「盆地反転」は見られないという相違がある.
このような構造発達史の比較から,地殻内地震の発生原因,ならびに中部地方の北部を縦断する歪集中帯の成因を理解する上で,100万年スケールでの応力場の逆転や移動現象が重要であることを指摘した.

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© 2010 日本地質学会
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