地質学雑誌
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論説
男鹿半島,二ノ目潟・三ノ目潟湖底堆積物の年縞構造と白頭山-苫小牧火山灰(B-Tm)の降灰年代
上手 真基山田 和芳齋藤 めぐみ奥野 充安田 喜憲
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2010 年 116 巻 7 号 p. 349-359

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抄録
秋田県男鹿半島に位置する二ノ目潟・三ノ目潟マール湖底堆積物コア試料を採取・観察した結果,両湖沼のコアのラミナが発達する層中に十和田a火山灰(To-a)と白頭山-苫小牧火山灰(B-Tm)の薄層が認められた.これら火山灰を挟在するラミナ発達層について,堆積物薄片観察により微細堆積構造を検討したところ,明暗ラミナセットは年縞であることが明らかになった.また,両湖沼コアについてTo-aとB-Tmの間の年縞の枚数を計数したところ,ともに14年と最大で半年分であった.このことから,To-aがAD915に降下したと仮定すると,B-Tmの降下年代はAD929と推定される.また,ラミナ単層と火山灰の層位関係から降灰の季節性を検討した結果,To-aの降灰は春先である一方,B-Tmのそれは少なくとも春から夏にかけて一度は生じた可能性がある.
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© 2010 日本地質学会
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