地質学雑誌
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総説
カルデラ生成噴火の準備過程解明に向けた研究の展望
鍵山 恒臣
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2010 年 116 巻 9 号 p. 463-472

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抄録
本論文は,カルデラ生成噴火の準備過程がどのように進行しているかを研究するために下記の仮説を提案する.火山活動には2つの端的な例に代表される多様性がある.この多様性は,マグマが地表に噴出しやすいか,地下に滞留しやすいかによって規定されており,噴出が容易な場合には噴火卓越型火山活動,滞留が容易な場合には地熱活動卓越型火山活動となる.マグマが地下に容易に滞留できる条件下では,間欠的に深部から供給されるマグマは,地表に達することなく地下に滞留するイベントを繰り返す.地下に滞留したマグマでは,分化や地殻の同化が進行する.このようなイベントを繰り返す中で,深部から供給されてきたマグマが地下に滞留していたマグマにぶつかり,過熱・発泡が進行して大規模な噴火が発生する.我々は,ここに示した作業仮説を様々な視点から検証していく必要がある.
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© 2010 日本地質学会
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