抄録
精度の高い噴火史を基にした岩石学的研究により,沈み込み帯活火山のマグマ供給系進化の解明が格段に進展し,その成果は噴火予知にも利用されつつある.玄武岩主体の活動的な火山の場合は供給系の構成が明らかにされると共に,浅部マグマ溜りが深部から注入を受けて進化する経過や,より深部の組成変化とその要因が解明されつつある.一方,安山岩~デイサイト質の火山では噴出物の特徴の時間変化に多様性があり,一噴火で急変するもの,100~800年程度で周期的に変化するもの,あるいは時間変化が見られないものがある。各々について供給系の構成や特に浅部マグマ溜りの進化を精度良く解明する研究が活発に行われている.また,噴出率の急上昇など特徴的な変化が認められる時期には浅部-深部マグマ溜りあるいは初生マグマ発生領域に大きな転換が起こっていることが判明してきている.この場合マグマ溜りの寿命について制約条件が得られる.