抄録
野外観察授業の重要性は従来から指摘されているにもかかわらず,準備・実施のための時間や予算の不足,観察物(露頭・動植物など)の減少などの諸要因から,近年,その実施は益々難しくなっている.ここでは野外観察授業の代替として,地層のはぎ取り標本の作製,簡易水路を用いた堆積実験,およびそれらの授業での活用方法について紹介する.また,野外での地層の成り立ちを理解した上で,地層のはぎ取り標本の活用や簡易水路を用いた堆積実験を行えるよう,鹿島灘の北端にあたる大洗海岸の現世の地形・地層,東茨城台地を構成する更新世の海成段丘・河成段丘の地形・地層の観察を併せて行う.