地質学雑誌
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総説
火星における欧米の生命探査計画とMELOS計画での生命探査
山岸 明彦
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2012 年 118 巻 10 号 p. 675-682

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抄録

これまでの欧米の火星探査は「水を探せ」が合い言葉であった.しかし近年,「生命のしるしを探せ」に探査の目標が変わりつつある.NASA/ESA MSLでは生命関連の分子を質量分析装置と波長可変レーザー分光光度型を用いて探査する.ExoMarsでは,抗体を用いた装置で有機物と生命関連分子を探査する計画である.
それに対して,日本のMELOS計画の一部で準備を進めている生命探査計画(JAMP: Japan Astrobiology Mars Project)では,火星表面付近数センチメートルの土壌から,蛍光顕微鏡を用いて微生物細胞を検出しようという計画である.火星におけるメタンの発見,および地球微生物の研究から,火星表層付近にもメタンを酸化する菌(メタン酸化菌)が現在も生育している可能性があるのではないかと考えている.適切な蛍光色素を選択することによって,地球生命とはかなり異なった性質を持つ細胞であっても,蛍光顕微鏡で検出可能であろうと推定している.

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© 2012 日本地質学会
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