地質学雑誌
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論説
オホーツク海底の表層堆積物における花粉群の平面分布
菅谷 真奈美奥田 昌明岡田 誠坂本 竜彦
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2015 年 121 巻 10 号 p. 349-358

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抄録

オホーツク海の16カ所で採取された海底表層堆積物試料から花粉粒を抽出し,オホーツク海底面における表層堆積物中の花粉群の平面分布を求めた.産出した花粉濃度と花粉出現頻度より,オホーツク海域の花粉群を,海岸から100 km程度までの沿岸域とより遠方の遠洋域の2つに区分した.沿岸域では,トウヒ属・マツ属・カバノキ属・ハンノキ属にモミ属・コナラ亜属・ハシバミ属・ニレ属/ケヤキ属・ツツジ科などが随伴する北方林の組成が特徴で,直近の陸上の植生を適切に反映し,花粉濃度も海底堆積物としては比較的高い値を示していた.これに対して海岸から100 km程度離れた遠洋域では,針葉樹花粉のマツ属やトウヒ属が特に卓越して産出することが特徴であり,花粉濃度も一様に低い値であった.以上より,本論文におけるオホーツク海沿岸域から得られる花粉群は,近傍の陸上植生を適切に反映しており,沿岸流が花粉粒子に及ぼす影響は比較的小さいことが分かった.

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© 2015 日本地質学会
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