地質学雑誌
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論説
イタリア・トスカーナ州・サトゥルニア天然温泉における豆石の形成
田崎 和江田崎 史江奥野 正幸竹原 照明石垣 靖人中川 秀昭
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キーワード: pisolith, calcite, XRF, XRF, SEM-EDS, Sr, apatite, pyrite
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2016 年 122 巻 2 号 p. 45-60

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抄録
イタリア・トスカーナ州南部のマレンマという地域には,イオウ臭が強くpH7,水温37°Cの棚田状のサトゥルニア天然温泉がある.本研究では,サトゥルニア天然温泉で産出される,豆石,褐色石灰岩および緑色バイオマットについて,化学組成,鉱物組成,微生物的特徴を調べた.全岩試料のXRD分析により,豆石は方解石,自然硫黄,石英から構成されており,褐色石灰岩は雲母,自然硫黄,菱沸石,7 Å粘土鉱物から構成されていることを明らかにした.また,全岩試料のXRF分析により,褐色石灰岩にはO,Si,Al,K,Ca,Fe,Naが多く,豆石にはC,O,Ca,Sr,Sが多いことを明らかにした.更に,豆石の断面をSEM-EDSで観察・分析・元素濃度分布図を行ったところ,全岩試料のXRDおよびXRF分析では検出されなかった微生物とSrを含むフランボイダル黄鉄鉱や燐灰石が発見された.
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© 2016 日本地質学会
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