地質学雑誌
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論説
北海道東部に分布する浦幌層群に含まれる細粒凝灰岩層のU-Pb年代
片桐 貴浩成瀬 元平田 岳史服部 健太郎
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2016 年 122 巻 9 号 p. 495-503

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抄録

北海道東部の釧路海岸地域には,河川および浅海成の地層である古第三系浦幌層群が分布する.古第三紀には,古千島弧とユーラシア東縁部の衝突が起こったとされている.しかし,この衝突がいつ起こったのか詳しくはわかっていない.浦幌層群天寧層中の礫は,この島孤衝突に伴って隆起した仁頃層群からもたらされたと言われている.そのため,天寧層の堆積年代を求めることは,島孤衝突の時期を決定する上で重要である.しかしながら,釧路海岸地域に分布する浦幌層群の放射年代はこれまで全く報告されていなかった.そこで,本研究では,浦幌層群天寧層中部の細粒凝灰岩に含まれるジルコンを用いてU-Pb放射年代測定を行った.測定にはレーザーアブレーションICP質量分析法を用いた.その結果,後期始新世に相当する39.06±0.23Maの年代が得られた.このことから,仁頃層群の隆起,そしてその原因となった島孤衝突は,始新世には既に起こっていたと考えられる.

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© 2016 日本地質学会
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