地質学雑誌
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論説
岡山県南部の始新世番田玄武岩及び串の山玄武岩
松浦 浩久妹尾 護
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2017 年 123 巻 2 号 p. 93-99

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抄録

中国地方の始新世-漸新世火成岩類は山陰地方に多く分布することが知られていたが,本研究により岡山県南部の玉野市番田玄武岩から41.2Ma,倉敷市串の山玄武岩から46.1 Maのいずれも始新世中頃を示す斜長石K-Ar年代が得られた.両玄武岩の鉱物組成と化学的特徴は山陰地方の田万川期(始新世-漸新世)の玄武岩類と共通しており,両玄武岩はその活動期の中では古い方に位置づけられる.従って中国地方の古第三紀火成活動初期には,活動地域が現在の瀬戸内海沿岸域にまで及んでいた可能性がある.

番田玄武岩に覆われる砂礫層(北方層)は始新世中頃以前に堆積した地層ということになり,瀬戸内海沿岸の古第三紀層としては古い層準である.

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© 2017 日本地質学会
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