地質学雑誌
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論説
北海道中央部,大雪火山群,旭岳サブグループの後期更新世~完新世火山活動史
石毛 康介中川 光弘
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2017 年 123 巻 2 号 p. 73-91

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抄録

旭岳(標高2291m)は御鉢平カルデラの南西に位置する成層火山で,現在でも活発な噴気活動がおこっている.旭岳山頂部から東には熊ヶ岳(2210m)の火砕丘と後旭岳(2216m)の溶岩円頂丘があり,いずれも旭岳の噴出物に覆われている.旭岳サブグループの活動は,山体の違いによって熊ヶ岳火山体,後旭岳火山体,旭岳火山体の3つに大別される.旭岳火山体については主にマグマ噴火を行った前期と主に水蒸気噴火を行った後期に区分され,さらに前期噴出物は噴出量とマグマタイプの違いを基にE-1サブステージとE-2サブステージに細分される.旭岳サブグループの噴出物は,特に苦鉄質側岩石の組成で山体および活動期間で区別できる.旭岳の活動では,従来の研究で指摘されているようにマグマ混合が支配的プロセスであるが,今回の検討によって山体(火口)および山体での活動期毎に,特に苦鉄質端成分が変化していることが明らかになった.

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© 2017 日本地質学会
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