地質学雑誌
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総説
日本における岩石の風化研究の進展と課題
西山 賢一
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2018 年 124 巻 11 号 p. 877-888

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抄録

岩石の風化は,地表の形態を変化させるプロセスと速度に大きな影響を及ぼすため,応用地質学的に重要な問題のひとつである.岩石の風化研究は,(1)風化のプロセスに関する研究,(2)風化物質と岩石の物性変化に関する研究,(3)岩石の風化速度に関する研究,に分けられる.岩石の風化生成物の物理的・力学的・化学的性質は密接に関連しており,風化研究にとって重要である.しかしながら,風化研究では,岩石に風化が及んだ時間の特定が困難という問題を持つ.日本における風化研究は,新しい分析技術を導入し,実験的手法において進展してきた.最近は,塩類風化が岩石物性に及ぼす影響に関する研究が進展している.岩石の風化速度に関する研究では,形成年代が既知の段丘堆積物を用い,段丘の離水から現在までを風化時間と見なす方法を用いて議論されている.今後の風化研究の発展には,岩石の風化速度と風化による物性変化に関するデータの蓄積が必要である.

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© 2018 日本地質学会
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