地質学雑誌
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総説
今日の「応用地質学」が果たすべき役割
横田 修一郎永田 秀尚小嶋 智
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2018 年 124 巻 11 号 p. 867-876

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抄録

地質学では地球の探求によって得た知識や考え方を社会に還元することも重要である.応用地質学はその役割を担う分野として成立しているが,それに向けた分野独自の見方や方法等が確立されているわけではない.このことは,学問体系の不明確さも加わって,応用地質学分野が網羅する内容や地質学内での位置付け等のあいまいさにつながっている.役割を果たすための分野の機能として,社会と地質学との相互関係の理解,時間・空間スケールの違いに基づいた情報の変換と伝達,既存の地質学の不足部分の補充などが挙げられ,これらの部分の研究がバランスよく進展していく必要がある.さらに地質学各分野の細分化を考慮すれば,社会への窓口として各分野との情報交換を経て知識の統合ができることも必要である.それらのもとでのサイエンスとエンジニアリングの組み合わせが応用地質学の学問的価値をもたらすであろう.

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© 2018 日本地質学会
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