地質学雑誌
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総説
水蒸気噴火の地質学的研究
及川 輝樹大場 司藤縄 明彦佐々木 寿
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2018 年 124 巻 4 号 p. 231-250

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抄録

噴出物中に本質物を含まない水蒸気噴火は,地球上でもっともありふれた噴火の一つである.我々は水蒸気噴火の各種特徴のレビューを行った.水蒸気噴火は,過熱水が急激に水蒸気に変化することで発生する噴火である.水蒸気噴火の噴出物は,粘土分に富んだ火山灰と変質ないし未変質の火山礫・火山岩塊で構成される.一回の水蒸気噴火は1時間から1日程度で終了することが多いが,同程度の規模の噴火を数年間にわたり繰り返すこともある.一回の水蒸気噴火における噴出物量は108m3(見かけ体積)以下である.水蒸気噴火で発生する現象は,降下テフラ,投出岩塊,比較的低温(概ね100°C程度)の火砕流,火口噴出型ラハールなどである.このうち低温の火砕流,火口噴出型ラハールの詳しい記載は少ない.層相からそれらの現象を判断し復元できるようにすることは今後の課題である.

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© 2018 日本地質学会
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