地質学雑誌
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総説
日本の古生代腕足類の古生物地理学的研究とその構造地質学的意義:総括
田沢 純一
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2018 年 124 巻 9 号 p. 655-673

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抄録

日本の古生代動植物群(おもに腕足類)の古生物地理に関する124篇の論文について総括した.これらの研究から以下の4つの構造地質学的なできごとが示唆される.(1)原日本はシルル紀~ペルム紀には北中国地塊周辺海域の造山帯(中央アジア造山帯)に存在した.(2)原日本はペルム紀に奥只見-飛騨外縁帯-南部北上帯-黒瀬川帯の順序で北から南へ1列に並んでいたが,後期ペルム紀以降,おそらく前期白亜紀~古第三紀の左横ずれ運動によって再配列をした.(3)秋吉帯の石灰岩-玄武岩ブロックは前期石炭紀~中期ペルム紀に,原日本に近い北半球のパンサラッサで礁-海山として形成された.(4)美濃帯の石灰岩-玄武岩ブロックは後期石炭紀~後期ペルム紀に,北アメリカに近いパンサラッサ赤道地域で礁-海山として形成された.

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© 2018 日本地質学会
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