地質学雑誌
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総説
濃尾平野の沖積層と地形
堀 和明羽佐田 紘大石井 祐次高橋 瑛人
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2019 年 125 巻 1 号 p. 73-85

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抄録

濃尾平野には木曽三川を中心に形成された沖積低地が広がる.地形は空中写真判読により扇状地,自然堤防-後背低地帯,三角州に分類され,沖積層層序はボーリング柱状図解析により第一礫層,濃尾層,南陽層に区分されてきた.濃尾平野では,この二十年間にコア堆積物の解析・分析によって貴重なデータが蓄積され,過去一万年間の海水準変動に対する沖積層の形成過程を千年スケールで理解できるようになった.しかし,最終氷期最盛期からヤンガードリアスにかけての情報は限定されている.沖積層の三次元構造の復元や堆積土砂量の推定も,GISを用いた既存データの解析によりおこなわれている.低地における土砂の貯留は千年前以降に増加しており,流域での人間活動による土砂生産量増加を反映していると考えられる.流域における近年の人間活動は水・堆積環境の変化を引き起こし,これらの変化は地盤沈下,局所洗掘,生態系の変化などとして顕在化している.

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© 2019 日本地質学会
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