地質学雑誌
Online ISSN : 1349-9963
Print ISSN : 0016-7630
ISSN-L : 0016-7630
房総半島に分布する上総層群の広域テフラ
-特に上総層群下部におけるテフラ層序と新たな対比-
田村 糸子水野 清秀宇都宮 正志中嶋 輝允山崎 晴雄
著者情報
ジャーナル フリー
電子付録

2019 年 125 巻 1 号 p. 23-39

詳細
抄録

房総半島に分布する上総層群は,層厚3000mに達する下部~中部更新統の前弧海盆堆積物である.古くから多くの層序学的研究が行われ,日本の海成更新統の模式層序である.また500層を超える多くのテフラが挟在され,上部の笠森層から下部の黄和田層まで詳細なテフラ層序が確立されている.多数の広域テフラ対比も報告され,日本列島の更新世テフラ編年上,重要である.

本論では,現在までに明らかにされた上総層群の広域テフラをまとめ,約0.4Ma~2Ma間の20層を超える広域テフラを示した.そして黄和田層中のテフラ層序に関して,ダブルカウントや上下逆転などの問題点を指摘した.また報告の少なかった上総層群下部の大原層,浪花層,勝浦層において,新たに多数の細粒ガラス質テフラを記載し広域対比を検討した.その結果,Bnd2-O1(2.1Ma),Fup-KW2(2.2Ma)の2層の広域テフラを新たに見出した.これらのテフラ対比から,上総層群基底の堆積年代が2.3Maを遡る可能性を示した.

著者関連情報
© 2019 日本地質学会
前の記事 次の記事
feedback
Top