地質学雑誌
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総説
最近10万年間の広域テフラと火山層序に関する年代研究
奥野 充
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2019 年 125 巻 1 号 p. 41-53

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抄録

この論文では,最近10万年間の広域テフラと火山層序の年代研究の進展をレビューした.14C年代測定は,水月湖のデータセットを採用したIntCal13の登場によって50cal ka BPまで暦年較正できるようになった.ただし,年縞編年では計数誤差を伴うため,年単位の議論をするには課題が残る.14Cスパイクの発見によってB-Tmの噴火がAD 946であることが確定した.14Cスパイクや酸素同位体年輪年代を用いて,樹木年輪の適用範囲を遡ることもひとつの方法である.また,5万年前を超えるものについては,K-Ar年代,FT年代,ルミネッセンス年代,δ18O層序,古地磁気層序などが主に適用され,K-Ar年代の感度法や40Ar/39Ar年代,SAR法RTL,IRTL年代なども報告されている.測定年代を検証するには,良好な層序を保存している露頭やコア試料が極めて重要である.

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© 2019 日本地質学会
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