2019 年 125 巻 2 号 p. 183-194
本研究では三波川変成岩類の堆積・付加年代および変成年代を制約するため,四国中央部,別子-汗見川地域に産する三波川プロパーの砂質片岩に注目し,砕屑性ジルコンを用いたレーザー照射型誘導結合プラズマ質量U-Pb年代測定を行った.その結果,各試料から得られた最も若い年代値は,変成度や原岩層序に対応関係はなく,すべて約100-90Maの年代を示した.このことは緑泥石帯上部から灰曹長石-黒雲母帯の変成岩が被った昇温変成作用の時期は100-90Ma以降であり,その原岩は白亜紀四万十付加体相当であることを示す.また,本研究から三波川変成帯は堆積および変成年代ともに異なる3つの変成岩ユニットからなることが示唆された.